大分県にある無人島、津久見島。
遠い昔は月を見る島とも言われていた。
この島は、人類が生まれる遥か昔からある
四億年の記憶を生きている島。
日本という国土が出来るずっと前からここにある。
はじめて訪れた時に見た景色は、
海辺に広がるイロトリドリの石が
宇宙の星ぼしに見えた。
その反面、壊れた廃墟の建物のように
人の手で残されてしまった足跡が
そのままになっている。
かつては人が暮らし
神社があり、その営みがあった。
しかし人がいなくなった瞬間から
荒廃は始まる。
そして、この島は今
国と市と個人の三者で所有している。
それはまるで社会の縮図のようにも思えた。
私たちが今生きる世界は、キズナを忘れている。
キズナが認識できなくなったことで、
私たちは自分の存在を信じられなくなった。
目に見えない信頼よりも、
目に見えるものばかりに囚われるようになった結果
キズナはどんどん忘れ去られ、
私たちはバラバラになっていく。
地球で人間が暮らすために
地球という場所に
人間が作り上げたものは
人間の手でお返ししたい。
そしてこの活動を通して
私たちはキズナをつなぎなおしていく。